「こと」の発端は去年の夏にありました。
八月七日はぼくの「記念」すべき「還暦」の日
つまり、六十歳の誕生日でした。
数年前に還暦を迎えたぼくの尊敬する
先輩S氏の「祝う会」でS氏は
還暦を過ぎたらあとは「おまけ」の人生だ。
と、仰っていました。その、自分も還暦を迎え
その言葉がふと、アタマをよぎりました。
ロボット(ROBOT)を創業して二十四年。
おかげさまで、ロボットも日本を代表する
コンテンツメーカーに成長しました。
創業した当時はむろん「コンテンツ」などという
言葉はありませんでしたが
漠然と「映像を商品にする会社」
ディズニーを目指すのだという想いがありました。
いま、ロボットはその、ディズニーの後ろ姿を
捉えかけているのかもしれません。
一九七四年に社会人になり、十二年、ロボットを
創業して二十四年、同期で社会人になった仲間も
「退職」という現実が迫っています。
「阿部は退職がなくていいなぁ」と、いう言葉には
考えさせられるものがありました。
さて、ぼくはいくつまでここにいるのだろう。
ロボットも二十四歳。そろそろ、ぼくの手を
離れてもいいのではないだろうか、そう思いました。
一九九四年に最初の映画「love letter」の製作を
手がけて十六年。いつの間にか映画製作が
ぼくのメインの仕事になり去年の夏
ロケーション先の出雲で主役のNさんに
「阿部さんはプロデューサーが天職ですね」と
言われ、なんとなく、独り言で「そうかも」と
呟いたような気がします。
オマケの人生、映画製作に専念しよう。
そう決めた去年の夏でした。
と、いう事で七月一日より
株式会社阿部秀司事務所としてスタートする
ことにしました。むろん、ロボットとは切っても
切れない縁があります。「創業者・顧問」として
これからもコラボレーションして仕事は続けて
まいりますので、よろしくお願いいたします。
引っ越しの案内状みたいになりますが
ロボットへお越しの際は、ちょっと
足をのばして代官山へもお立ち寄りください。
平成二十二年六月吉日
株式会社 阿部秀司事務所
代表取締役・プロデューサー 阿 部 秀 司
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